#30 OTOGIKI LAB. 第16話「めざせ、ノーマライゼーション!YY System」※ポッドキャスト文字起こし

川田:「ABCラジオPodcast OTOGIKI LAB.」音の実験室へようこそ。川田一輝です。

最近、映画をめちゃくちゃ見ていますが、映画を見ていて、映画って、セリフと音楽は大事じゃないですか?感動する時の音楽が流れる時に、聴覚障害のある方はこういったところをどういう気持ちで見ているのかなと、最近思うようになりました。

ある意味今日は、本日この後出ていただくゲストは、

世界中が字幕映画だったらどんな感じになるのか、みたいな。こうした二次元と三次元の融合のすごい技術をお話ししてくださいます。

それではこの後、素敵なゲストに登場いただきましょう。『OTOGIKI LAB.』実験スタートです。

では早速、ゲストの方をご紹介しましょう。『株式会社アイシン』の中村正樹さんです。よろしくお願いします。

中村:よろしくお願いします!

川田:今日はありがとうございます。こちらこそです。今、会社からですか?

はい。そうです。今、『秋葉原』にある『YYSystem』の開発のラボから参加しております。ラボって聞くと、多分聞いてらっしゃる方は、すごい試験管が並んだ実験室ってイメージがあるかもしれませんが、めちゃくちゃ会議室って感じですね!

中村:実はですね、結構こんなスマートグラスやいろんな開発品がいっぱい置いてあってですね、

川田:へえ、僕だけこっそりちょっとこれをリモートで見せていただいているんですが、モニターがたくさんあって、そこでじゃあ、本当にあらゆる商品を生み出しているんですね。

中村:その通りですね。はい。あの、こもって開発をしているような場所になります(笑)。川田:ちょっとその『YYSystem』が気になるんですが、まず『中村さん』の自己紹介から伺ってよろしいでしょうか?

中村:はい。私は『株式会社アイシン』に働いております『中村正樹』といいます。

もともとはですね、カーナビゲーションシステムのエンジニアをしていましたが、

現在は自動車の部品の事業とは少し離れまして、

主に聴覚障害者の方が利用していただいている『YYSystem』という意思疎通支援のプロジェクトの開発をしております。

川田:もともとカーナビなんですか?

中村:そうなんですよ。カーナビゲーションシステムの開発を担当していました。へえ、それは具体的にはどういったことを聞いてもいいんですかね。

ちょっとですね、特殊な機能を作っていまして、私たちの『株式会社アイシン』はカーナビゲーションシステムとあとオートマチックトランスミッションも実は有名でして、変速機ですね。はい。で、そのカーナビゲーションの地図のデータを使って、

車のオートマチックトランスミッションの変速を自動的に調整するような機能とか作ってたんです。


川田:そんなことあるんですか?

中村:あ、そうです。あの、今でいうと自動運転があるので、もっと進んだ機能が世の中にたくさん出始めてるんですけど、当時としては、結構。まあミッションオートマって言われるようなオートマですよね。それがなんかちょっと手でカチャカチャやったりするじゃないですか?はい。慣れてる人はあれをカーナビの前にカーブがあるからちょっと減速しようとか、へえ、上り坂があるからちょっとギアを低くしておいてとかですね。さらに燃費にも効くみたいなことがあって、下り坂があったら、あんまり加速しても意味ないじゃないですか?

こう、地図のデータを使うとわかるんですね。先が読めるということ。

川田:面白いですね!

中村:今日はちょっとそちらの話じゃないんですけど、そういうのをやってまして。そうです、そうです、そうです。はい。

川田:そして今、『YYSystem』っていう方に注力されてる。

中村:はい。そうです。

川田:あのこの番組『OTOGIKI LAB.』は音の実験室ということで、音楽好きな方もたくさん来てくださるんですよ。中村さんなんか好きな音楽とか、学生時代好んだアーティストとかいますか?

中村:はい。あの、実はずっとバンドをやっていまして、、、

川田:あ、そうなんですか?

中村:若い時、ずっとやってまして、ドラムをやっていました。

川田:へえどんな音楽を?

中村:ジャンルはですね、まあ僕も年代がわかってしまうと思うんですけど、あの昔『イカ天』っていう番組がありました。

川田:ちょっと年上ということはわかりました(笑)。

中村:(笑)『三宅裕司』さんがやられた番組なんですけど、中学生ぐらいだったんですけど、ちょっと憧れまして、いろんな、まあジャンルやりましたけど、『ヘビメタル』とかですね!

川田:『ヘビーメタル』やってはったんですか?

今は、柔和な笑顔に黒いメガネの中村さんから想像できない!!ヘビメタだったんですね!!

中村:当時はね、もうちょっと髪の毛もあったので(笑)

川田:僕わざわざ何も言ってなかったのに(笑)。今日は映像が流れてないんですけど、

チャーミングな『中村さん』とね、今回・次回とお話させていただくんですけど、そんな『中村さん』が開発されてる『YYSystem』なんかすごい賑やかなね、なんかネーミングもかわいいですけども、どんなシステムなんですか?

中村:『YYSystem』は主に、喋った言葉を音声認識をして文字にする。

あとは例えば『笑い声』とかですね、『拍手』とか、それほどそれこそ先ほど言った音楽、いろんな楽器の音を検出して、『オノマトペ』っていうんですけど、アイコンのようなもので表現をする。

例えば分かりやすい例でいうと、聴覚に障害がある方がですね、街を歩いていて後ろから『救急車』とか『消防車』なんか近づいてきた時に結構気づきにくかったりするんですね。音だけなので。その時にスマホで『救急車』とかの『サイレン』の音を検出して、

『Apple Watch』をこう振動させたりとか、ああ、これここにまぁ、『スマートグラス』があるんですけど、レンズにそういうのが表示されたりします。


川田:なるほど!なんか今お話を聞いていたらこうやって会話の中で、言葉が文字で表示されるっていうのはね、こう何ていうか、生きる世界すべてが映画の字幕みたいになるみたいな

いいなと思ったんですけど、それだけじゃなくて日常生活でもお『危機回避』とか『安全』のためにも使えるんですね!

中村:その通りですね。

『聴覚障害者』の方が使っていただくアプリで文字を起こすことを最初にやっていたんですけど、なんかそれだけでは不十分ということがいろんな方に聞いているとわかりまして。

実は昨日ですね、ちょっとイベント用に、『ステーキ』の焼ける音『ジュウーーー』っていう・・・


川田:もう聞くだけで、なんかもうお腹が空くんですよね。

中村:『ジュー』っていう肉の焼ける音がアプリの反応をするとですね、アプリの中に肉が出てくる。

川田:アプリの中に肉が出てくるのがめちゃくちゃいいですね。

そうか確かに

お肉の焼けるにおいとか音で僕たちはお腹がすいたりしますけど、『聴覚』に障害があったりするとその音が聞けないから。。

中村:そうです。

川田:なんか、『YY System』のキャッチコピーの一つに拝見していたのが「心までつながる」というワードがすごく素敵だなと思ったんですけど、まさに今のようなことかもしれませんね。

中村:僕は、まあ聞こえる人間なんですけど、僕が考えたことは不十分で、やっぱり聞こえない方のことを僕は知ることができないので、今のところ本当の困りごとは、それをやっぱり当事者の方と一緒になって楽しく話しながら、、、

例えば飲み会をしながらとかですね、『SNS』で仲良くなったりして、本当の困りごとっていうのをたくさん安心して話していただいて、それでも全部理解できないんですけど、

自分なりに解釈したことをこう作っていっているというのを繰り返します。

私の角度で押し付けるということじゃなくて。


川田:いや、そうですよね。

『名前のない家事』みたいな本もありましたけど、

名前のない困りごとって多分無数にあって、それをわざわざ人に言わないんですよね。

中村:そうですそうです。わかってもらえないだろうとか、ありますし、それを言って開発してもらえるなんて思えないとか、お金を取られるんじゃないかとか。結構ね、

それはね、もう言っても無理って言われるんだろうなって、僕もそういう経験がたくさんあって、サービスをしている時にちょっとこうしたらいいのになっていう時に言語化しても、まあそれはできません、みたいなことを言われてしまう。うちはそのスタンスはないような形で。

川田:素敵な開発背景ですね。そもそも、その開発された経緯って何だったんですか?

中村:さっき言ったように、私はもともと『カーナビゲーションシステム』を開発していたんですけど、新規事業を会社の中で、考えようっていうポジションにちょうどこう抜擢されまして、その時、いろんなことを考えてたんですけど、社内に『聴覚障害者』の方がたくさん300人ぐらいいるんですけど、その方たちと出会ったことによって、自分の知らない状態、

自分にはわからない状態っていうのがあって、

自分が考えていたことがすごくなんか足りてないというか、無知の知みたいなことに気づかされて、で、そっからこう。その世界を知って自分がやってきた開発を生かして何かできないかなっていうふうになって、今のサービスをそんなに策略的ではなかったんですけど、そういうのを繰り返し今のサービスができたというような感じですね。

川田:へえ、今文字起こしのアプリとか、そういったAIって、いろんな場所でいろんな形であるじゃないですか?議事録をつけたりとか。

けど、その心までつながるというところは『YYSystem』ならではかもしれないですね。

中村:そうですね。僕たちのサービスが結構他社と違うなって思うのは、その認識性能が結構いい方だと思ってるんですけど、さっき言ったように、ユーザーさんと一緒になって作っていて、無料で使っていただけるんですね。個人のユーザーの方は。

そうそうそうですね。はい。ユーザーさん同士が口コミで広げてくれて、ユーザーさんが、日常的に使っていただいた結果、そのユーザーさんが自分が働く会社であったりとか。

通う学校とか近隣の自治体に『YYSystem』をユーザーさんが紹介してくれるようになって、へえ、そこから法人契約依頼が私たちの方に戻ってくるっていうのがいつの間にかできちゃったんです。

川田:はあ、なんかもうそういったコミュニティができたんですね!

中村:そうですそうです。普通、ITのサービスとかアプリを作ると、それを営業部隊が宣伝したり、PRして、ローンチしました。みたいな流れですが、

そこに一切しなくて、僕がSNSで発信してるぐらいで、へえ。

ユーザーさんがある意味、営業マンっていうことじゃないんですけど、広めてくれる仕込みで。自分の働く会社に言ってくれるんですよ。導入してほしいと。

そうすると企業のダイバーシティとか、そういう障害者雇用の担当者が

あ、これは導入しようっていうふうに決めていただける、うん。

『インクルーシブデザイン』って呼んでるんですけど、それがですかね、やっぱり。

他社がお金を払って真似しようと思っても、なかなかできないところは積み重ねて作ってきたものなので、信頼関係を作ってきたので、そこが強みかなと思ってます。


川田:いや、これは本当になんかすべての、『プロダクト』に共通するヒントというか、

ユーザー目線が究極まで行ったら、本当にユーザーが広めてくれるというのは間違いないですね。

で、『中村さん』にご紹介いただいたのが、以前出演していただいた『フォーハーツ』の、

那須さんですよね?

中村:そうですね。

そうです。『那須さん』とはすごく仲良くさせていただいてまして、はい。『那須さん』もすごくアプリをたくさん使ってくれていて、たまに飲んだりするんですけど、『那須さん』も独特の感性をお持ちで。

川田:そうですね。『那須さん』もこうパッションのある方ですよね!

あと、いろいろと見させていただいたら、『世界に字幕を添える展』というのも開催されたんですか?

中村:あ、はい。今年の5月に『東京』の『原宿』の、『ハラカド』というビルがあるんですけど、『商業施設』なんですけど、そこを1棟貸し切りというか、字幕のジャックをいたしまして、、、

川田:字幕でジャック、字幕をジャックですね。はい。面白い、どういうことですか?

中村:いろんな店舗さんがこう入ってるんですね。でその中に

『我々』が開発している透明なスクリーンに文字が出る仕組みがあるんですよ。お店のレジとかにこう置くと、対面で、だけど、顔とか動きが見えながら空中に文字が浮かんだように見え、

川田:『コロナ』の時のアクリルパネルみたいな感じですね!

中村:そうです。あれをちょっともう少しおしゃれにしたような『プロダクト』があるんですね。それをその店舗内でいろんなところに設置して、どこに行っても字幕があるよっていう状態へ、

川田:面白い!

中村:それをまあ、『インフルエンサー』の方、当事者の『インフルエンサー』の方も結構おられるので、そういった方に、来てもらって宣伝してもらったり、僕らとしても発信したり、

して、7日間開催したんですけど、

最初やっぱり店舗の方も、こんなん邪魔だよとか、聞こえない人にやっぱりやってもそんな、

私たちの負担になるじゃないですかとか、

操作を覚えたり導入コストとかっていう話だったんですけど、そのうちみんな使いこなせるようになって、これがあることによって、お客さんが来てくれるようになった。と言ってくださるようになったんです。


川田:あのお店の売上向上にこう貢献できたんですね。はあ、面白い。

中村:つまりそういう情報保障福祉機器みたいな感覚があるものだったんですけど、それが実は置くと、来ていただいたそういう当事者の方が喜んでくれるかつ、

お店の活性化というか、売り上げにもつながるっていう感じで店舗さんの80%ぐらいはそういうポジティブな意見を頂戴しました。

川田:それって、その耳が聞こえない聴覚障害のある方だけじゃなく、例えば今だったらインバウンドで『中国』とか『ベトナム』から来られる方も多いので、そういった言語が表示されていたら、すべてがバリアフリーというか、

コミュニケーションがフリーになりますよね???

中村:はい。翻訳でも、もちろん使えます。今、31カ国語に対応しています。

川田:すばらしいですね!

中村:実は翻訳もですね、機械翻訳っていう、例えば『Google翻訳』アプリとか、いろいろありますよね?はい。あれは結構性能が上がっていますが、私たちの翻訳は『Chat GPT』を使っています。

過去のやり取りも含めて翻訳していくので、うん。結構翻訳の精度も高いという評判をいただいています。

川田:面白いですね。なんかその先の未来みたいですね。今の話を聞いただけで、すべての商業施設に導入する価値があるなと思いました。

中村:はい。実はですね、今年の11月15日から『東京』で『デフリンピック』というものが開催されるんですけど、はい。ちょっと障害者の方のオリンピックです。世界中から6000名の方が参加します。『デフアストリート』の関係者の方が来るんですけど、

同じタイミングで11月15日から、

先ほど言った『世界に字幕を添える展 in 東京』というものを開催します。

『東京』全域を字幕ジャックします。

川田:エリアをめっちゃ広げているじゃないですか?

中村:100店舗以上になりましたね。

川田:すごい!!面白いですね。全ての人々がスムーズに意思疎通できた先に、中村さんは何を描いていらっしゃるんですか?

中村:『宇宙』です。

川田:『宇宙』!!どこまで広がるんですか?

中村:もちろん世界字幕なので、日本だけじゃなくて世界にあるんですけど、僕は結構AIの開発とかもしているので、うん。ちょっとあの『イーロン・マスク』さんが、宇宙船をバンバン打ち上げているじゃないですか?あれはまあ火星に移住させるという目的でやられていると聞いたんですけど、もう人類が宇宙に出て行くんですよね。そうすると、地球外の知的生命体と出会ってしまいます。

川田:なるほど。

中村:で、その時の意思疎通の壁って、今の聴覚障害者の方と…

あの、やり取りができないとか、外国人とのコミュニケーションが取れないという、もう次元の違う問題が来てしまうと思うんですね。

そこに貢献したいんです。

川田:へえなんか。入口と出口が想像できないところに、今日ありましたけど、まさかの

こんなワクワクする話、あとはSF!!いやでもそういった未来ももう近いってことですよね。

中村:だって、この今の収録している間に、もしかして、都内に『インディペンデンス・デイ』みたいな宇宙船が来るかもしれないじゃないですか?突然。

川田:収録前に趣味はないって言ってましたけど、めちゃめちゃSF好きじゃないですか?

中村:妄想が好きです。(笑)

川田:その妄想をAIや技術の力で現実に変えているというのが『中村さん』の魅力なんだなというのは思いました。ちょっと僕もね、一つ質問したいことがあるので、次回は、

エンタメについて、今の技術を使って、どのようにもっと盛り上げられるのか、課題をクリアできるのかというところをテーマに、ちょっとお話させてください。

中村:はい。わかりました。ありがとうございます。引き続き次回もよろしくお願いします。


川田:今日のゲストは『株式会社アイシン』の『中村正樹』さんでした。ありがとうございました。

中村:ありがとうございました!!



川田:

『川田一輝く』がお送りしてきた『OTOGIKI LAB.』第16回はいかがだったでしょうか?

いや、『中村さん』のお話なんか、字幕映画かどうこうとか、そんなレベルじゃなく。もう最後は宇宙の話、SFの話でしたね。

僕は今『Zoom』をつないでお話をしていたんですけど、『中村さん』の目は、小学校4年生の瞳なんですよ。目がめちゃくちゃキラキラしていて、

仕事が趣味ですとおっしゃっていましたが、そういった本当に見えない世界が見えていく、未来にワクワクしながら開発をされているというのが、本当に原動力なのですね。

もうなんかずっと少年のままなんだなって思いました。

そのままどんな未来にたどり着くか、次回はこの『OTOGIKI LAB.』との接点も含めて、どんなコラボができるのか、お話をしたいと思います。

さて、この番組ではサポートしてくださる企業様を大募集中です。

番組を聞いて少しでも興味を持っていただいた方、何か質問がある方、コラボしたいという方がいらっしゃいましたら、こちらまでご連絡ください。

info@otogiki.com

までお待ちしています。

では、第16回の研究は終了といたします。『ABCラジオポッドキャストOTOGIKI LAB.』のお相手は川田一輝でした♫

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