#27 OTOGIKI LAB. 第12話 「茨城県結城市街なか音楽祭の仕掛け人 -前編-」※ポッドキャスト文字起こし
川田:「ABCラジオPodcast OTOGIKI LAB.」音の実験室へようこそ。
川田一輝です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
僕ね、1歳の息子がいるんですけど、息子との日々が毎日すごい新鮮で。多分これ、誰に聞いても覚えてないと思うんですけど、人生初ブームみたいなのを目の当たりにしてくんですよ。
自分の人生で最初にハマったもんって覚えてます? 僕は覚えてないんですけど、うちの1歳の息子は、アンパンマンとかミッキーマウスとかを差し置いて、掃除機にはまってるんですよ。ずっと掃除機触らせろって言って、ブーンブーンって言って、ずっと掃除機で遊んでて。でも、すごいのは、そういう子が多いのか、掃除機のダイソンから、おもちゃのダイソンって出てるんですよ、ちょっとだけ吸えるやつ。それをおばあちゃんに買ってもらって、ブーンブーンって言いながら、その先っちょのノズルとかを一生懸命カチャカチャ変えて変形ロボみたいにして遊んでるんですよね。ブンブンブンブンつって。
で、最近気づいたのが、うちの子、音の鳴らないものはあんまはまらないんですよ。ピッピって言って、リモコン貸せって言うんですけど、テレビのリモコン渡しても違うって言うんですよ。じゃなくて、ピッて大きい音がするクーラーのリモコンを触らせろって言うんですよね。だから、確かに掃除機とかリモコンとか、あと仏壇のおりんとかね、もう爆鳴らしするんですけど、やっぱり人間の根本的なところに音っていうのがあるのかな。音を鳴らして楽しいっていう、認知するのは視覚、目だけども、愛着持つのは音なのかなっていうのを最近思いました。
ということで、この「OTOGIKI LAB.」音の話を今日も深めていきます。
それでは今日も実験スタートです。
さあ、この時間、ゲストの方をお迎えしています。
一般社団法人MUSUBITOの野口純一さんです。よろしくお願いします。
野口:よろしくお願いします。
川田:野口さんは今日茨城から、わざわざ大阪に来ていただいて、このために。
野口:呼んでいただいてありがとうございます。
川田:僕ね、この前ちょっとinstagram拝見しまして、めっちゃ寄り道してるなって、万博行ってるなと思って(笑)
野口:やっぱね、大阪行ったらこの時期、万博行かないと。セネガルとか、バングラデシュのパビリオンだけちょっとチラ見して。噂になってるインドネシアの入口のお兄ちゃんを見て来ました。
川田:なるほど。ちょっと1杯飲みながら?
野口:そうですね、確かに。それも見てるんですね(笑)
川田:instagramでビール飲んでるなと思いながら。
今ちょうど調子がいい感じということで、よろしくお願いします。
改めて野口さん、簡単にどんなことをされてるかっていう自己紹介お願いしてもいいですか?
野口:改めまして一般社団法人MUSUBITOの代表をしております野口と申します。
普段は茨城県の結城市というところで商工会議所の職員をしております。その結城市で「結いのおと」という音楽フェスを主催しておりまして、この「結いのおと」がきっかけになって、前回この「OTOGIKI LAB.」にも出演された菊地さんが会長をしているNPO法人の日本ミュージックフェスティバル協会の理事なんかやっております。
川田:イヤーマフのこととかお話いただいて。子供たちが強い音を浴びてしまったら、ちょっと耳がダメージ受けちゃうっていうので耳当てみたいなのがあるよって話があったんですが。
そういった繋がりもあって。この番組「OTOGIKI」についてもすごくサポートしていただいてありがとうございます。その野口さんのされているMUSUBITOについて、そして「結いのおと」について、色々と今日伺っていきたいんですけども、まずそういった音楽フェスを主催されてる野口さんがどんな人かっていうの聞いたいんですけど、そもそも音楽はずっと好きだったんですか。
野口:そうですね。もう昔から音楽好きで、高校生の時は割と90年代のヒップホップを聞いていてDJやったりとか。
川田:クラブのDJも?
野口:そうですね。
川田:だから「結いのおと」でも鎮座DOPENESSさんとか、結構ヒップホップカルチャーを感じるような?
野口:割とそういうクラブカルチャーからヒップホップやってますね。
川田:自分の人生を変えた1曲ってありますか?
野口:そうですね、自分、楽器ができないんで、逆にトラックメーカーの方が結構好きで、デジタル音楽作ったりとか。
川田:トラックメーカーというのはパソコンとかで自分で音楽を作る人ですよね?
野口:そういうデジタルから音楽を創造していくミュージシャンに強い憧れがありまして。その中でEVISBEATSさんっていう関西方面で活躍されているトラックメーカーさんいるんですけど、「いい時間」という曲がありまして、あれ大好きですね。
川田:ちょっとチルな感じの。
元々ヒップホップって、僕は誰かの影響で聞くようになるもんだと思っていて、普通に生きてたらあんまり通らないというか、Jポップとかはあっても。僕は友達のお兄ちゃんにはヒップホップ教えてもらって。当時PSGはすごい高校生の時好きで、同級生にtofubeatsくんがいて。
野口:tofubeatsさんも「結いのおと」で何度もお世話になってて。
川田:僕はそういうルーツがあるんですけど、なんかそういった影響を受けた人が身の回りにいたんですか。
野口:高校の時に、イベントでDJを先輩がやってたのがきっかけで、ターンテーブルをお年玉で買いに行くっていうんで、秋葉原の電気街まで茨城から行って。普通ターンテーブルって2台じゃないですか。あれ1台、当時TechnicsのSL-1200が5万円ぐらいするんすよね。
川田:5万+5万の10万円?
野口:で、1台しか買えなくて。家にあったプレーヤーを無理やり2台つないで、片方はスクラッチできないという(笑)
野口:そこでしばらくしのいで、そういう思いをしながら、ようやくお金を貯めて2台作って、先輩に色々レコードを教えてもらったりして。そういうルーツもありますね。
川田:いいルーツですね。なんかワクワクするというか。
でも、音楽を楽しむ側から今度仕事にしようっていう風になったきっかけはあるんですか。
野口:元々自分は生抜きの商工会議所の職員ではなくて、東京で大学卒業して、東京のアパレル企業に、ファッション業界にいたんすよ。
川田:なんか今日も可愛いTシャツを着て、「ラザニアスパゲッティ」ってお腹すく(笑)
野口:ファッションっていうところにすごく興味があって、そのままお仕事にしてアパレル企業にいたんですけど、ライフスタイル見直したくて、転職を機に茨城にUターンして帰ってきて。転職先がなんと結城の商工会議所という全く畑違いの場所だったんですけど、商工会議所って地域の総合経済団体なんで、地域にどっぷり向き合うことになって、その地方都市が抱えている地域課題に結構直面したんですよね。それって何かというと、その町が高齢化してて、世代交代、いわゆる新陳代謝ができてないっていうところで。若年層が受け入れられないなっていう環境が悪循環になってるんですよ。その公的な立場から、なんかできないかなっていうことで、結いプロジェクトというMUSUBITOの前身となるボランティア団体を立ち上げて、2010年に。そこで地域の人たちを巻き込みながら、自分たちらしい活動をしたいということで自分の好きな音楽を起点にして。歴史と文化が息づく町なんですけど、その結城市を舞台にした回遊型の音楽イベントっていうことで、それが音楽祭の・・・
川田:「結いのおと」! そもそも結城市って、僕、伺ったことないんですけど、地図で見たら茨城県の限りなく栃木寄りというか。
野口:最西端ですね。
川田:どんな町なんですか?
野口:城下町なんですよ。元々18代結城家、歴史のある町なんで、蔵造りの建物が日本でも3番目に多い。歴史と文化の町並みが最大の特徴かな。
で、あとは何より結城紬。絹織物で、2011年かな、ヨネスコの無形文化遺産にも登録されて世界の絹織物となって。結構そういったところも有名で、もう着物テイストな町ですね。
川田:イメージは小京都とというか。きょうもお土産を買ってきていただいてね。これもね、渋い。和菓子のサブレですか。
野口:桑の葉のサブレなんすよ。
川田:桑の葉。あんまり聞かないですね。
野口:結城紬の原料となるシルク、繭ですよね。桑畑が結構あって、それをパウダー状にして生地に練りこんだもの。
川田:せっかくだから頂こう。 ほんとですね、緑がかってますね。いただきます!
野口:どうですか?
川田:サクサクで美味しい。なんか抹茶っぽい。
野口:ほろ苦さがアクセントになってて。鎌倉にある某サブレとはまたちょっと違って、甘さが控えめであって。
川田:これ言われなかったら桑ってわかんないかもしれない。桑って美味しいんですね。
野口:結構、栄養価も高くて。あとは桑の実ですね。横文字で言うとマルベリー。それもジャムで。
川田:え、桑の実ってジャムになるんですか。
野口:なります。桑の実のジャムとか
川田:ベリーっていうことは、ブルーベリーみたいな?
野口:そうそうそう。
川田:アントシアニンみたいな?
野口:割と地元の養蚕農家さんたちは、もちろん蚕もそうですけど、こういった形で。
川田:なるほど。じゃあ、結構和菓子のお店とかもたくさんあるんですね。
野口:そうですね。お寺さんが結構、結城にはまだ残ってるんで。そういうとこでまだ需要があるっていうことで。和菓子業界は世代交代がちゃんとできて、何代目とか。
川田:そもそも野口さんは、茨城の結城ご出身なんですか?
野口:実は違うんですよ。
川田:ここまで来て違うんですね! こんなに話してるから「わが町結城」かと思ったら(笑)
野口:隣の町、古河市っていうんですけど。たまたま転職したところが、結城だったっていう。
川田:じゃ、ちょっとある意味、茨城に対しては愛着とか思い入れもあるけども、ちょっと客観的に見られるとか?
野口:そうですね。逆にね、そういったところが自分の視点としても、強みなのかなっていう風に思って。結城の良さっていうのが客観的に見えるから、それを内側の人たちと町の潜在的な魅力に新しい価値観を付与できるような、そういう取り組みができたのかなっていう風に思ってます。
川田:なるほど。音楽、ヒップホップとかクラブミュージックルーツで、UターンIターンっていうんですかね、帰ってきて茨城でまた街に賑わいをっていうイベントで「結いのおと」ができましたと。でもこれ、簡単にはできないですよね。
野口:そうですね。
川田:難しいですよね、やっぱり。
野口:10年以上「結いのおと」を開催してるんですけど、やっぱり当然ね、音楽ライブなわけですから、その音を鳴らすっていうのを街中で開催するっていうのは・・・
川田:結構ハレーションというかね。
野口:そうですね。
川田:「そんなうるさいのは、うちは結構じゃ」みたいなのありそうです。
野口:だから地域の人たちに一緒になってイベントの運営とか、立て付けの段階から関わってもらってるんで、割と当然参戦してもらってる、応援してくれる人たちが強いんですけど、中にはクレームじゃないですけど、お叱りだったりとかご助言をいただくこともあるんですけど、でもそういう人たちとね、やっぱりちゃんと膝を突き合わせて話すことで、自分たちがどういう目的でやってるか。単なる賑やかしでやってるってわけじゃなくて。
川田:若者の単発花火ではなく、思いがあってと。
野口:やっぱりね、ここで多様性の醸成だったりとか、若い人たちがまたもう一度、結城から離れちゃった、首都圏に出てきちゃった若者が町と関わるきっかけが、この「結いのおと」にもあるんじゃないかっていうことで。実際にね、例えばマーケットなんかもあるじゃないですか。音楽を彩るような、例えばご飯屋さんとか、フェス飯みたいなもので関わってくれた人が、結城の街中の空き店舗とかに、実際に回遊イベントなんで出てもらったりするんで、それで結城の良さを体感して商売の道を感じて、新しい担い手になってるんですよ。
川田:そこにお店構えて?
野口:結城にお店を構えてるくれてる人たちが何店舗かある。
川田:え! 何店舗もあるんですか。
野口:もう十数店舗できてますよ。皆さん、「結いのおと」の出店者さんたち。
川田:それってすごいですよね。ファーストステップとしては、まずは結城市に行くっていうとこだけでも、もう拍手というかねえ。でもそこから先に、そこで店を構えて、その都市に入っていくっていうのはね。素晴らしいイベントなんだろうなっていうのと同時に、やっぱ結城にも魅力があるんでしょう。
野口:やっぱり自分もね、手前味噌ですけど、結城の良さっていうのはすごくわかってるというか。
川田:この「結いのおと」、すごい気になったんで、今日も調べさせてもらったら、井上苑子さんが紹介してたタコスがすごい美味しそうで。僕のイメージでは、小京都の結城市でみんな和装で歌ったりとか、それこそ和菓子とかかき氷とか食べんのかなと思ったら、タコスとかもあるんで、バーガーとかめちゃくちゃ楽しそうだなって。
でも、10年続けてこられた中にはきっとドラマもたくさんあると思うので。この番組 「OTOGIKI LAB.」では 音についても伺っていきたいので、ここで前半終了として次回詳しく「結いのおと」について聞かせてください。
野口:よろしくお願いします。
川田:この時間のゲストは一般社団法人MUSIBITOの野口純一さんでした。
次回もよろしくお願いします。
いや~、野口さんとのお話、楽しかったですね。
てっきりフェスのオーガナイザーが来られるって聞いて、髭のちょっと怪しい業界人みたいな人が来んのかなと思ったら、結構爽やかな短髪で日焼けをしてて、ニコッと笑った時にはちょっと目尻にシワが寄るような優しい感じで、でもバックボーンにはクラブDJもしてたりっていう、遊んだじゃないけども、そういうなんか余白の部分とかも感じたりして。多分、野口さんの人柄があるから、地域の人も音楽関係者もアーティストも、この人が言うんやったらやったろうかって思ったんやろうなと。MUSIBITOっていう一般社団法人でされてますけど、いろんな人を結んではる人なんやろうなっていうのを思いました。
でも気になるのは、その「結いのおと」という街中音楽祭です。
詳しくは次回聞いていきましょう。それでは第12回の研究は終了といたします。
「ABCラジオPodcast OTOGIKI LAB.」 お相手は川田一輝でした。また次回。
以上
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